GA4のMCPサーバーは自作が最適だった|公式・リモート・第三者と比べた選定基準
Google Analytics(GA4)のデータをClaudeやChatGPTから直接読むには、MCPサーバーが必要です。「つなぎ方」を書いた記事は増えましたが、「どの方式を選ぶか」を比べたものは見当たりません。当社は4つの方式を検討し、最終的に自作(Cloud Runでのリモートサーバー)に決めました。その判断材料を、2026年9月時点の実態として公開します。
検証日:2026年9月7日/使用クライアント:Claude Code(Anthropic)。各サービスの仕様は変わるため、半年ごとに検証し直して更新します(次回 2027年3月予定)。
結論:4つの方式はここが違う
違いは「サーバーがどこで動くか」「認証情報をどこに置くか」「チームで共有できるか」の3点に集約されます。
| 方式 | 費用 | ツール数 | 導入の手軽さ | 向いている相手 |
|---|---|---|---|---|
| Google公式 analytics-mcp | 無料 | 7 | コマンド1行 | 1人で試す人 |
| Google Cloud リモートMCP | — | — | — | GA4は対象外 |
| 第三者のMCPコネクタ | 有料(月額) | 提供元による | OAuthを許可するだけ | 社内にエンジニアがいない場合 |
| 自作(Cloud Run) | 実行時間のみ(少額) | 必要な分だけ | 初回の構築が必要 | チームで共有したい場合 |
そもそもGA4のMCPサーバーは何をしているのか
MCP(Model Context Protocol)は、AIに外部のデータやサービスをつなぐための共通規格です。GA4の文脈では、AIの代わりにGoogle Analytics Data APIを叩いて、結果をAIが読める形で返す小さなサーバーがMCPサーバーにあたります。
これがないと、GA4の数字をAIに見せる作業は「管理画面でレポートを作る → CSVで書き出す → チャット欄に貼る」の手作業になります。つないでしまえば、「先月の流入元別のコンバージョンを出して」と書くだけで、AIが自分でAPIを呼んで答えます。読み取り専用で作るのが基本で、公式・自作いずれも書き込みはしません。GA4の設定がAIによって勝手に変わることはない、という前提です。
MCPそのものの仕組みは MCP連携とは で解説しています。この記事では、GA4に限った「どう用意するか」だけを扱います。
Google公式のGoogle Analytics MCPで足りなかった3点
まず前提として、公式サーバーはよくできています。GitHubの googleanalytics/google-analytics-mcp がそれで、無料・読み取り専用・first-partyです。導入は pipx run analytics-mcp を指定する形で、実質コマンド1行です。コミュニティ製の非公式ラッパーを使う理由は、もうほとんどありません。
それでも当社の用途には合いませんでした。理由は3つあり、いずれも機能ではなく「どこで動くか」に関する制約です。
① 「リモート」ではなくローカル型だった
公式は各自の端末で動かすローカル型で、ホスト型(リモート)は提供されていません。つまり利用者ごとに、端末にサーバーを入れ、認証情報のJSONファイルを置く必要があります。当社は「ディスクに秘密鍵を置かない」方針で他のMCPサーバーを運用していたため、ここが噛み合いませんでした。
② GA4はGoogle Cloudの公式リモートMCPの対象外だった
Google Cloudは2026年3月から、対応サービスを有効にすると自動でリモートMCPサーバーが使えるようになりました。BigQuery・Cloud SQL・Cloud Run など70製品以上が対象です。しかしGoogle Analytics・Analytics Data API・Search Consoleは、この一覧に含まれていません(2026年9月7日時点で確認)。
③ Claudeのコネクタ一覧にもGA4はない
Claudeのコネクタ一覧にはNotionやSlackなどが並びますが、GA4・Search Console・Google広告といったデータ系サービスは収録されていません。ワンクリックで繋ぐ経路は、現時点では存在しません。
ツールの数では公式が上。ただし後から足せる
公平に書くと、機能面では公式のほうが充実しています。公式は7つ、当社の自作は2つからのスタートでした。
自作したリモートMCPサーバーの構成
当社の構成はCloud Run + HTTP + トークン認証です。ソースは4ファイル(本体・依存定義・Dockerfile・除外設定)だけで、本体は200行ほどです。要点は端末側に鍵ファイルを置かないことにあります。
中身は4ファイル
「自作」と言うと身構えますが、実際に書くファイルは4つです。当社のGA4サーバーの実物がこの構成です。
| ファイル | 役割 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| server.py | ツールの定義、トークンの検証、GA4のAPI呼び出し。実質これが本体 | 約200行 |
| requirements.txt | 使うライブラリの指定(MCPのSDK、Google認証、Webサーバー) | 5行 |
| Dockerfile | コンテナ化の手順(Python 3.12) | 8行 |
| .dockerignore | コンテナに入れないファイルの指定 | 2行 |
同じ形でSearch Console用のサーバーも並べています。1本作れば2本目からは型を流用できるので、対象を増やすほど自作の割が良くなります。
人数が増えたときに差が出る
1人で使うなら公式が手軽です。差がつくのは利用者が増えたときで、ここが当社の決め手になりました。公式は端末ごとに導入するので設定作業が人数分だけ発生し、自作は初回の構築1回で済みます。
自作でうまくいかなかったこと
良いことばかりではありません。実際に運用して困った点を3つ挙げます。
- 仕様変更の追随は自分持ちになる。GA4のAPIが変われば自分で直す必要があります。公式なら追随してもらえるので、ここは明確に不利です。半年に一度は動作確認する運用にしています。
- 接続済みなのに「ツールが0個」と表示されることがある。同時に多くのセッションから叩くと、ツール一覧の取得がタイムアウトする症状です。サーバー自体は生きているので、慌てて作り直す必要はありません。当社はこの場合、REST APIを直接叩いてその場をしのいでいます。原因の切り分けを知らないと「壊れた」と誤診しがちな挙動です。
- 最初はツールが少ない。前述のとおり、ファネル分析やカスタムディメンションの確認は後から足す前提になります。「あとで足せる」は裏を返せば「今はない」なので、最初に必要な分析を洗い出しておくほうが手戻りが減ります。
逆に、想定したほど問題にならなかったのが費用です。Cloud Runはリクエストがない間は課金されないため、社内数人が1日に数十回叩く程度では月額はごくわずかで済んでいます。
どれを選ぶか
よくある質問(FAQ)
GA4のMCPサーバーは公式のものがありますか?
あります。GitHubの googleanalytics/google-analytics-mcp がGoogle公式です。ただし2026年9月時点では実験版で、各自の端末で動かすローカル型です。ホスト型(リモート)は提供されていません。
GA4はGoogle Cloudの公式リモートMCPで使えますか?
使えません。2026年9月時点で70製品以上がリモートMCPに対応していますが、Google Analytics・Analytics Data API・Search Consoleは対象外です。
MCPサーバーを自作するメリットは何ですか?
チームで共有できること、認証情報を各自の端末に置かずに済むこと、必要なツールを後から足せることの3つです。1人で使うだけなら公式のほうが手軽です。
GA4のMCPサーバーは自分で作らないと使えませんか?
いいえ。1人で使うなら公式のローカル版がコマンド1行で導入できます。「チームで共有したい」「端末に鍵を配りたくない」という条件が出てきたときに、はじめて自作を検討してください。社内に手が足りない場合は、当社が自社運用しているものと同じ構成での構築代行も承っています。
この記事について
- 2026年9月7日時点の検証です。各サービスの仕様は変わるため、半年ごとに検証し直して更新します(次回 2027年3月予定)。
- 第三者のMCPコネクタ(Windsor・Porter 等)は未検証です。公開資料の範囲でのみ記載しています。
- 当社の構成は Cloud Run + HTTP + トークン認証で、GA4とSearch Consoleの2本を同じ形で運用しています。セキュリティ上、サービスURLや認証の詳細は掲載していません。
- レビュー分析データをAIから直接扱う仕組みは TrendViewer MCP、MCPそのものの解説は MCP連携とは をご覧ください。構築のご相談は お問い合わせ から承ります。